1999年北海道ライラック開花前線
-釧根地域は北半球最後の開花日!-


 ライラック観測網に寄せられた情報をもとに、「1999年ライラック開花日」 の図を作成しました。この図における北海道ライラック開花前線をたどってみましょう。咲き始めは渡島半島日本海側の大成町字都で、5月12日でした。5月 15日が洞爺村立洞爺中学校、5月16日には札幌市中央区北星学園女子高校、5月17日に函館市弥生町へ戻り、5月23日に北見市中央町、5月24日に帯 広市三条高校、旭川市末広町六合中学校は5月27日、網走市オホーツク公園と網走南ケ丘高校が6月1日、長万部町が6月2日、稚内市萩見町と釧路町立富原 小学校が同じで6月7日、根室市花咲にある市立郷土資料保存センターでは6月15日、最後は音別町立音別中学校で、6月18日となりました。ライラックの 開花・満開の観察は、アルバータ大学デボニアン植物園でもおこなわれています。デボニアン植物園に報告されたデータの中では、音別町が北半球最後の開花日 でした。
 このように、開花前線は渡島半島を行きつ戻りつしたり、北海道北端と東部に同時に現れたりしました。想定した経路を一方向に進むのではありません。 「1999年ライラック開花日」は、「開花日数」をいくつかの段階に分け、塗り分けたものです。「開花日数」は便宜上用いた数値で、5月1日から「開花 日」までの日数です。大成町の5月12日は12、音別町の6月18日は49となります。原則として、狭い地域内に複数の観察地点を持つ市町村については、 「開花日数」の平均値を用いました。
 図を見つめると、「開花日数」のならび方で函館平野,石狩平野、上川盆地、名寄盆地、十勝平野、釧路平野、北見盆地などの地域が浮き出てきます。
 各地域の咲き始め地の周りに、同じ開花日数を結ぶ「開花等日線」を描きます。5日刻みの等日線は開花前線が等高線のように拡がる様子を見せてくれます。 観察参加者が多かった石狩平野あたりをご覧ください。開花前線は札幌市を出発して、江別市、岩見沢市、滝川市へと北上する支流と、恵庭市と千歳市、苫小牧 市と白老町、静内町、えりも町へと南下する支流となって拡がっています。
 北見市、釧路市近辺でも開花前線は等高線状に進みます。観察点が少ない旭川市、帯広市、名寄市、函館市でもそのようです。
 ライラックは市街地、集落に植えられていますから、「開花等日線」は深い沢に入り込まず、ましてや峠を越えることはありません。地域ごとの「開花等日線」を結びつけることによって、ライラック開花前線が北海道を南から北へ、西から東へ進む大きな流れを読みとれそうです。

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更新日:2002年1月25日