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研究紹介 - About Our Reserach -

研究室について

森林生態系における樹木を中心とした生物多様性の維持機構や生態系機能、その保全を主なテーマにしています。生産者としての樹木の多様性が光・栄養塩などの資源量、その場の攪乱体制、他の動植物との相互作用などによってどのように決定されるのか、そしてそれが他の栄養段階の生物の多様性や生態系機能とどのような関係を持つのかを調べています。またブナを中心とした冷温帯の樹木を対象に、その形質や生理活性、個体群動態の地理変異を調べ、環境変動に対する冷温帯森林生態系の応答の地域差を明らかにしようとしています。  
[業績も参照]


所属学生の研究テーマ

河川生態系における生物間相互作用解明に対する化学的アプローチ
〜Stoichiometryの理論等を用いて〜
資源-消費者系は植物網の基盤であり、環境変化が生態系に与える影響を紐解く作用系であ。この資源-消費者系にアプローチする際、生態学的化学量論(Ecological stoichiometry)の理論が非常に有用な武器になる。Ecological stoichiometryとは資源と消費者の化学量比から、消費者の成長や繁殖の制限元素および余剰排出元素を予測する分野である。私は河川生態系を舞台に消費者(河川性ベントス)資源の元素比率および元素の可給性に着目した研究を行っている。(太田)

The effect of nitrogen deposition on herbivore insects at different tree diversity sites

Recent estimates, anthropogenic activity with human activities are doubling the amount of fixed N entering the terrestrial N cycle. The increased N depositions which are not excess positively affect both trees and herbivore insects. Particularly, the N contents of leaf may be influenced differently. Because The N conversion rates from soil to leaf are different to tree functional groups. Herbivore insects may directly influence growth and species composition at the producer levels. But the effects of tree diversity are controversial about the response of herbivore insects. So, the objectives are (T) to examine the role of increased N deposition on plants of different functional traits and its herbivore insects, (U) to test the relationship between tree diversity and herbivore insects, (V) to confirm how the combined effects of increased nitrogen deposition and tree diversity influence herbivore insects.(Lee)

山地急斜面に成立している暖温帯上部混交林の林分構造と動態を規定する
要因
山地急斜面に成立している暖温帯上部針広混交林において、構成種の空間分布や共存を規定しているものが何かを明らかにすることが研究目的である。そのために、1994年から継続して調査を行なってきた面積1haの固定試験地で、構成種の分布が斜面の上部や下部、傾斜の緩急など立地によって偏っているかどうかを調査している。次にそれらの種の分布をそれぞれの立地における死亡率、リクルート率、成長などが、動態パラメータで説明できるか、検討を行っている。そして動態パラメータに及ぼす環境要因のなかで何が重要かを明らかにする。さらに大面積長期での林分動態と立地環境との関係を明らかにするため空中写真から過去40年の林冠動態解析を面積約50haのスケールで行い、林分動態に及ぼす立地環境要因は何かを明らかにする。(酒井)


近年の在籍者・共同研究者・滞在者の研究テーマ

ブナ個葉の環境応答に関する地理変異
生物種は地理的に分割された地域集団から構成され,地理的に離れた地域集団の間には自然選択や遺伝的浮動によって個体の形質に差異が見られることがある。森林生態系において最も大きなバイオマスを持つ林冠木の葉の形質の違いは,その後の生食連鎖や腐食連鎖に大きな影響を与える。そこで日本の冷温帯林に広く分布するブナを用いて,遺伝的要因と環境要因がどのように個葉の形質に影響を与えるかを明らかにする研究を行っている。(野村)

撹乱傾度の違いによる土壌栄養塩の動態とその応答
台風19号(2004年)は洞翁丸台風(1954年)以来の大規模な風倒被害を苫小牧研究林にもたらした。森林における台風の撹乱は光環境・土壌環境を大きく変化させ、そのような非生物的環境の改変は、生物に新たなハビタットを提供する。そこで、台風撹乱強度の違いによる土壌の無機栄養塩の動態とそれに対する植物の応答を研究している。また、台風撹乱によって生み出される植食者と被食率の変動も明らかにし、森林生態系の複雑な相互作用の一部分を明らかにしたいと考えている。(川瀬)


撹乱履歴が林床植生の多様性に及ぼす影響-持続的な森林管理を目指して-
近年、森林管理を行う際に、生物多様性を維持することが重要視されてきている。そこで、自然攪乱(台風等)、人為攪乱=森林管理(伐採・造林等)といった過去の撹乱履歴が、現在の植物の多様性にどのような影響を与えたか?を明らかにする。具体的には、林床植生の多様性の調査を行い、過去の攪乱履歴を森林簿、及び1948年(進駐軍撮影)から2004年までの航空写真を用いて、データ化し、その影響を定量化する。(日野)


森林生態系の腐食連鎖における土壌動物の機能
微生物、ミミズ、地表徘徊性甲虫といった腐食連鎖に携わる生物群集と林床に堆積した有機物の分解、土壌の栄養塩類の流れなどの土壌機能との関係を検討している。現在のテーマは、主に次の2つである。 ?@ミズナラが優占する林分で林齢の違いが土壌動物の群集構造と土壌機能に及ぼす影響 ?A土壌機能の制御に対する落葉と土壌の質といった環境要因と生物群集構造の寄与率(豊田)


シカによる生物多様性と栄養塩循環へのインパクト‐大規模野外実験による検証‐
シカの密度と森林の生産性を操作し、シカの採食による植物生物多様性の変化や排泄物が土壌に供給されることによる栄養塩循環の変化をそのメカニズムも含めて明らかにする。シカの密度は、高密度:大きさが16.5ha(東京ドーム3.5個分)の囲い柵に3-5個体導入 低密度:苫小牧の自然密度密度0:シカを柵により完全に排除 の3段階に操作する。森林の生産性は、施肥や伐採を組み合わせ4段階設定する。(日野)


セイヨウオオマルハナバチの侵入が在来植物の送粉成功に与える影響
ヨーロッパ原産のセイヨウオオマルハナバチは温室トマトの授粉用に日本に輸入され、その野生化が報告されている。そこで在来植物であるエゾエンゴサクにおいて、セイヨウオオマルハナバチと在来マルハナバチの間に送粉効率の差があるのかどうかを実験によって明らかにすることを目的とした。(堀田)


樹木の種内・種間における個体サイズの変異と生理機能との関係
樹木は、実生から林冠木に至るまで非常に大きな個体サイズの幅を持つ。大きな樹木ほど光獲得には有利であるが、水を引き上げるためのコストも大きくなりやすく、同一種内では、個体サイズの増大に伴って光合成などの生理機能も変化することが明らかになってきた。一方、樹種間においても低木や亜高木・高木など最大サイズは大きく異なる。そのため、樹種間の生理機能の違いは、種間の最大サイズと密接な関連をもっている可能性がある。そこで、最大サイズや生活形が異なる多数の樹種を対象とし、林冠クレーンなどの林冠アクセスシステムを利用して個体サイズと生理機能のより一般的な関係を明らかにする。(鍋嶋)


生物的・非生物的要因が植物を介して節足動物群集に与えるプラスの間接効果
生物的(食害)・非生物的(洪水攪乱)要因によるダメージは植物を介して植食性昆虫にプラスの間接効果を与えることが分かってきた(Nakamura & Ohgushi 2003; Nakamura et al. 2003; Nakamura et al. in press)。さらにこの間接効果には波及効果があり、植物上の昆虫群集全体にその影響力が及んでいる可能性をがある。そこで現在、植物上の節足動物群集の多様性の維持・促進に関して植物を介したプラスの間接効果が重要な役割を担っている可能性について研究を行っている。 (中村)


大量開花する植物の繁殖に対する資源分配から生活史戦略を考える
植物には開花・結実量が年によって変動する,マスティングと呼ばれる豊凶現象が認められるものが多く存在する.大量の開花・結実を成功させるにはある 程度の資源量が確保されていることが必要であると考えられるため,マスティングを引き起こす至近要因の一つとして,糖やデンプンなどの光合成同化産物 量の関与が指摘されている.そこで,大量開花する植物(ハクウンボク,アオダモ,クマイザサ)を対象に,繁殖に対する資源分配のパターンや繁殖コス ト,個体の維持機構および繁殖戦略について検討し,生活史戦略を明らかにする研究を行っている. (宮崎)


これまでの修論テーマ

平成18年度(2006年度)

ギャップサイズの違いが光・土壌栄養塩と植物形質の変化を介して植食者に及ぼす影響 (川瀬悟)

平成17年度(2005年度)

撹乱履歴と現在環境が林床植生に与える影響 (日野貴文)

セイヨウオオマルハナバチがエゾエンゾサク (Corydalis ambigua) の授粉成功に与える影響 (堀田はるか)

平成15年度(2003年度)

生息地の断片化が絶滅危惧樹木クロビイタヤの繁殖成功と遺伝的多様性に与える影響 (堀田万祐子)

平成14年度(2002年度)

伐採と施肥がフェノロジーの異なるユリ科草本4種の資源分配と結実率に与える影響 (大西瑞木)

木本と草本のリター混合と施肥・伐採が窒素無機化へ与える影響 (高橋姿)

平成13年度(2001年度)

ハクウンボクにおける繁殖器官への資源分配 (宮崎祐子)

平成12年度(2000年度)

ミズナラの誘導防御に対する被食と光環境の相互作用 (鍋嶋絵里)

平成11年度(1999年度)

林冠における落葉広葉樹の光合成特性 (志水謙祐)

冷温帯落葉広葉樹林における葉群構造と個体間の光資源分割 (福島行我)

上層木高木種の開葉フェノロジーが林床低木ミツバウツギの繁殖成功に与える影響 (前野華子)