FSC トップpage へ 森林圏 トップpage へ 雨龍研究林 Uryu Experimental Forest
名寄林木育種試験地 Tree Breeding Station

(地図をクリックすると「広域図」を表します。)
最終更新:June-2012

雨龍研究林の技術室への連絡は母子里へ、
事務部への連絡は名寄へお願いします。

雨龍研究林
〒074-0741
北海道雨竜郡幌加内町字母子里
 TEL:0165-38-2125 FAX:0165-38-2410
 

アクセス

交通機関利用の場合
JR 札幌駅−(JR北海道 宗谷本線 稚内行き 特急2時間30分)−名寄駅−(JRバス 幌加内行き 30分)−母子里 下車−(徒歩1分)−雨龍研究林庁舎

乗用車の場合
札幌−(札幌−士別剣淵間 高速利用)−名寄−母子里−雨龍研究林庁舎:約3時間30分

宿泊施設(研究利用)
 宿泊定員 46名


事務部および名寄林木育種試験地
〒096-0071
北海道名寄市字徳田250番地
 Tel. 01654-2-4264 Fax. 01654-3-7522

交通機関利用の場合
JR 札幌駅−(JR北海道 宗谷本線 稚内行き 特急2時間30分)−名寄駅−(タクシーで約10分)−庁舎(北管理部内)

乗用車の場合
札幌−(札幌−士別剣淵間 高速利用)−名寄− 庁舎(北管理部内):約3時間

宿泊施設(研究利用): 宿泊定員8名

フィールド(研究利用)などの利用は、森林圏ステーション施設利用ガイド をご覧下さい。

[ 研究者一覧 ] は、こちら のページをご覧下さい。

<概要>
 雨龍研究林は、1901(明治34)年、内務省から札幌農学校の学校維持資金(財産林)として約3万haの所管換えを受け、「第一基本林」として北大で最初に創設された研究林です。その後、現在の朱鞠内湖にあたる土地を割譲するなどして、現在の管理面積は約2.4万haとなっています。本林は1912(明治45)年に仮施業案(管理計画)を編成して以来、天然林の択伐(抜き伐り)作業を中心に天然林施業を実施してきましたが、1995(平成7)年の長期計画以降は、伐採を中心とした施業方針を見直し、森林生態系の各種モニタリングや組織研究の成果に基づいて、天然生林の復元技術の開発と、北方自然景観の創造・管理を目指したフィールド管理を行っています。

泥川保存林

 森林は、「試験林」、「保存林」などに分類されています。「試験林」は、所在する地区と森林の特徴から、政和天然再生実験林、添牛内更新技術実験林、蔭の沢更新技術実験林、朱鞠内湖景観保全林に分類し、各種の調査研究、技術開発を実行しています。また、一切の人為的な取り扱いを行なわない「保存林」として、泥川保存林と宇津内原生植生保存林を指定し、保全を図ると同時に、基礎的な研究のフィールドとして活用しています。

雨龍研究林の森林区分は、こちら のページをご覧下さい。

<自然条件と特色>
 雨龍研究林は、石狩川水系の一大支流である雨竜川の上流部、1942(昭和17)年に完成したわが国最大面積の人造湖である朱鞠内湖を中心に東西30km、南北50kmの範囲で広がっています(北緯44度3分-29分、東経142度1分-20分)。標高は、海抜175m〜904mで、北部は、朱鞠内湖の集水域である、雨竜川源流部のなだらかな山岳地帯になっています。一方、南部は雨竜川左岸の比較的急峻な山腹斜面を占めています。地質は概して新第三紀の安山岩類からなり、南部では蛇紋岩や変成岩も分布しています。
 本地域の最大の特徴は多雪寒冷な気象条件です。雨龍研究林での気象観測によると、年平均気温は約3℃、最高気温は1989年7月の34.1℃、最低気温は1978年2月の−41.2℃(わが国の観測史上最低)で、年較差が70℃以上と寒暖の差が非常にはげしい気象条件です。年によっては、最低気温が氷点下にならないのは8月だけということもあります。降水量は年平均約1,200oで、その大部分は9月から3月に集中し、10月下旬から5月初旬まで降雪があります。最大積雪深は多い年では平野部でも2m75p(1970年3月)にも達し、道内でも有数の多雪寒冷地になっています。

母子里の現在の気象

 研究林の林相は、標高や地質、台風などの攪乱履歴、施業の経過によって異なりますが、概して、朱鞠内湖を囲む北部地域には、北海道の代表的な森林タイプである針広混交林が分布しています(写真1)。一方南部地域は、蛇紋岩地帯に成立するアカエゾマツの純林が比較的大きな面積を占めています。混交林の構成樹種はトドマツ、アカエゾマツ、ミズナラ、ダケカンバ、シラカンバ、イタヤカエデ、シナノキ、ハリギリなどです。また沢沿いには、ヤチダモ、ハルニレ、ケヤマハンノキ、ヤナギ類を中心とする渓畔林が発達しています。特徴的なことは、エゾマツが母子里周辺に局所的に分布するだけで、代わりにアカエゾマツが混交林の主要な構成樹種になっていることです。広葉樹はミズナラの構成比率が高く、純林に近い天然林が随所に見られます(写真2)。

写真−1

写真−2

<研究・教育>
 雨龍研究林では、自然環境と社会的な条件を考慮して、「朱鞠内湖とその流域を中心とした環境変化と生物多様性保全の長期総合研究」という大テーマのもと、長期・大規模な野外試験やモニタリングを遂行し、森林生態系の諸機能や生物多様性の維持機構を明らかにするとともに、それらを考慮した北方森林景観の管理方法を検討しています。また、生態系の機能と保全、地域社会との関係を総合的に研究しうるフィールドであることを最大限に活用して、専門分野を横断した多彩な共同研究を進めています。  教育活動では、学生実習として、本学農学部や大学院環境科学院をはじめ、全学の新入生を対照とした一般教育演習、他学部・他大学による各種の実習に定期的に利用されています。また、全国の大学学部生を対象としたセミナー(野外シンポジウム)や小学生を対象とした体験学習(森のたんけん隊)、さらに、地域の学校の総合学習や森林・林業関係機関の技術研修のフィールドにもなっています。

森林科学総合実習2

 【主要な研究テーマ
  • 長期観察林(32箇所)における樹木群集の動態観測
  • 天然林における種子生産量の長期観測
  • 野生生物群集(野ネズミ、エゾシカ等)の長期観測
  • 植物相(Flora),動物相(Fauna)の記載
  • 森林流域を対象とした水循環・物質循環特性の観測
  • 気象・酸性降下物の長期観測
  • 特徴的な生態系(湿地性アカエゾマツ林や山地湿原)の形成・維持機構の解明
  • 地域の景観管理、土地利用と保全に関する研究
  • 天然生林の復元技術の開発
  • 針広混交林の管理技術の確立


図−1 朱鞠内湖とその流域を中心とした環境変化と
生物多様性の保全の長期総合研究
(拡大図 470KB 990×724)

<フィールド管理>
 長期的に針広混交林の復元をめざした、森林の造成を行なっています。年間約5haの更新作業地では、ササ類を重機で取り除いた(掻き起こし)後、アカエゾマツを中心にトドマツ、エゾマツなどの植栽、ミズナラの播種、または天然下種(自然の種子落下に任せる施業)によって森林の更新(世代交代)を図っています。2006年以前までは、ヤチダモ、ハリギリの植栽も行いました。植栽本数は基本的に1000本/ha以下の疎植とし、天然更新した広葉樹を混交させています。従来からのさまざまな試行錯誤の結果、現在では、ササ地に森林を復元することが可能になり、研究林の大きな成果となっています。このような更新地での継続調査を通して、森林の諸機能の保全・発揮につながる管理方法を模索しています。また、保全・修復に重点を置いたフィールド整備を進める中で、森林の伐採量は、従来よりも大幅に減らしています。ただし、持続可能な生物生産は世界的に大きな課題であり、教育目的、あるいは研究林でしかなしえない大規模な野外試験を遂行する場合には積極的に実施しています。
 研究林内の林道網は12.2m/haに達しています。林道は、森林の管理や研究課題の実行上必要不可欠な存在であり、その効率的な維持と技術開発に取り組んでいます。

<名寄林木育種試験地>
 当試験地は名寄市郊外にあり、森林の遺伝を扱う林木育種および優良苗木の育成技術を研究する機関として、1965(昭和40)年に発足しました。樹木遺伝子資源の収集とその特性評価をもとに、採種方法を含めた育苗技術の確立に努めています。試験地は暗渠排水、客土等の土地改良が行なわれ、さらに、トラクターなどの大型機械を配備して、全面高張寒冷紗設備、種子の低温保存室、温室、灌水施設などが整備されています。敷地約19haのうち、苗木育成用の苗床面積は7.9haです。

育種試験地(苗床)

 現在、天塩・中川・雨龍研究林で、とくに形質が優良なトドマツおよびアカエゾマツを合計80本ほど選び、保存しています(精英樹)。そして、これらの形質が遺伝的なものであるかどうかを検討する試験(次代検定)を行なってきました。苗木生産のために、精英樹を接木クローンで増殖した、トドマツ・アカエゾマツの採種園を場内に造成しています。また、収集した種子や苗木の産地を記録して、後の遺伝子資源の探索に役立てられるようになっています。
 遺伝的特性に関するデータの収集は、雨龍研究林内のフィールドでも行なっています。北海道を中心とする日本各地、あるいは中国東北部からナラ類を収集し、母樹別に成長や開葉・紅葉時期などを比較検討しています(産地系統試験)。また、アカエゾマツについても、土壌母材の違いに着眼した産地系統試験を行っています。これらは、遺伝子資源として重要な天然林を保全するための基礎的なデータになっています。